この法案が通ったら戦争が起こるの? – 小学5年生の息子が抱いた誤認を正すべく、集団的自衛権をおさらいしてみた

   2015/12/03

国会前デモ01

あさチャン!を見ていた小5の息子の言葉に、国会前デモの隠れた悪影響を知る

昨日の朝のことです。

我が家では朝の準備をする時間、いつもあさチャン!がかかっているのですが、安保関連法案のデモを報じるテレビの画面を見ていた息子(小学5年)がポツリとこう言いました。

「父ちゃん、この法案が通ったら戦争が起こるの?」

えええええええーーーー!!!!!! そんな風に思っちゃってるーーーーー!!!???

なるほどなぁ、三権分立も習っていない小学生がこんな↓映像を見たら、そう思っちゃうのも無理はないかもなぁ。

国会前デモ02

慌てて「いや、戦争をしようという法律じゃなくてね。この法案が成立したからって戦争が起きるわけじゃないよ」と否定しておきましたが、それにしても、今回のデモの負の影響というものを感じたわけです。

これはちゃんと説明せなかんなぁ…というわけで、子どもに正しく理解させるために、ワタクシ自身も正しく理解しているかアヤシイ「集団的自衛権」というものについて、おさらいをしておこうと、こう思ったわけなんですね。

集団的自衛権とは何ぞや?

まずは手っ取り早く、wikipediaを読んでみます。

集団的自衛権(しゅうだんてきじえいけん、英語: right of collective self-defenseフランス語: droit de légitime défense collective)とは、ある国家武力攻撃を受けた場合に直接に攻撃を受けていない第三国が協力して共同で防衛を行う国際法上の権利である[1][2]。その本質は、直接に攻撃を受けている他国を援助し、これと共同で武力攻撃に対処するというところにある[3]

ふむふむ。

集団的自衛権は、1945年に署名・発効した国連憲章の第51条において初めて明文化された権利である[1][4]。憲章第51条を以下に引用する。

この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持または回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。

– 国連憲章第51条

上記のように国連憲章には「固有の権利」として規定されたが、個別的自衛権(自国を防衛する権利)は同憲章成立以前から国際法上承認された国家の権利であったのに対し、集団的自衛権については同憲章成立以前にこれが国際法上承認されていたとする事例・学説は存在しない[1]。

まずそもそも集団的自衛権というのは、国連憲章で承認された国際法上の権利、ということですね。

性質としては、自国が攻撃されていない場合でも、攻撃を受けている他国と共同して武力攻撃に対処できるということ。

自国が攻撃された場合は個別的自衛権で対処できるので、自国が攻撃されていなくても、というところが最大の違いですね。

これまで「自衛隊」は個別的自衛権の下「反撃」が可能であったけれども、今度は集団的自衛権の下に、自国と関係の深い他国(例えばアメリカ)が攻撃された場合でも「反撃」が可能になると。

また行使に関しては、

国際慣習法上、相手国の攻撃が差し迫ったものであり他に選択の余地や時間がないという「必要性」と、選択された措置が自衛措置としての限度内のものでなければならないという「均衡性」が、国家が合法的に個別的自衛権を行使するための条件とされる[10][12]

ということで、集団的自衛権を行使するにも正当な理由は必要なんですね、当然のことですが。

ってあれ? 個別的自衛権で「反撃」が可能ってことは、武力行使の可能性はいままでもあったってことですよね?

少し調べてみますと、これにもさまざまな見方がありまして。

コチラのブログ↓によると、自衛隊はその成り立ちからして憲法違反であるという見方もできます。

BLOGOS 個別的自衛権と集団的自衛権 比較しましょう

反対派の人たちは今回の法案を「違憲」だとして反対の論拠としていますが、そもそも自衛隊そのものが「違憲」だとしたら、今回の法案だけを取り出して云々するのは少々ご都合主義的すぎる気がしますね。

なぜ今、集団的自衛権が必要なのか?

さて反対派の人たちが問題視・不安視するポイントに、なぜ今のこのタイミングで集団的自衛権が必要なの? という点があります。

これに関しては、こちらの記事↓が非常に分かりやすく、納得ができました。

安保法案は「戦争法案」、それとも「戦争抑止法案」?

この記事を書いた渡部 幹氏の主張はこう。

囚人のジレンマでいうところの「応報戦略」によって世界のパワーバランスを均衡させる、というのがアメリカの外交戦略であった。

しかし中国の台頭により、その均衡を保つために日本がアメリカ側軍事勢力の実質的なパワーをもつことが求められた結果が、今回の安保法制につながっていると、そういう主張です。

一つ一つの国単位ではパワーに違いがあるが、連合vs連合の構図では、パワーが均衡するようにできる。そうなれば、アクセルロッドの研究前提は満たされ、「応報戦略」の効果により、平和的関係が実現される。

山口組が分裂し、組織の中核を占める山建組の幹部らが袂を分かつことになったが、これは大きな分裂だからこそ、できた話である。残ったほうも出ていったほうも、大きな組織である。お互いの抗争をすれば共倒れになる。冷戦時に核戦争が起これば世界破滅になったのと同じだ。勝利者はいなくなるのだ。

こういった状況では、お互い信頼しているわけではないが、やったらやり返される、やられたらやり返すことがわかっている以上、お互いに手出しをしない状態となる。力の均衡がある限り、対立するグループ同士が生き残るには、それが最善の策になるのだ。

安保法案について、アメリカの意向が働いているのは間違いないだろうが、その背後にあるロジックが語られることはあまりない。アメリカは現在、新しい冷戦状態を作ろうとしているように思える。中国が台頭し、かつてのソ連に変わる役割を担おうとしているため、彼らのパワーに匹敵するアライアンスを作っておかないと、世界の均衡が崩れる。

軍事戦略上の意味もあり、日本がアメリカ側軍事勢力の実質的なパワーをもつことが、均衡を崩さないために必要だということだ。この研究結果から一つ確かに言えることは、上記のマクロな視点でみると、日本が戦後、平和を謳歌できたのは、憲法9条のおかげではなく、日米安保条約によってアメリカ側の軍事連合に組み込まれ、自衛隊を創設したからである。つまり、「やられたらやり返す」という軍事行動原理の一翼を担ったのだ。

少し長いですが引用してみました。

まぁつまり、なぜ今このタイミングで? という問いには、中国をはじめとして、日本をとりまく世界情勢が急激に変化しているから、という回答になるかと思います。

イギリス人記者が「デモするなら中国大使館前でやるべき」と言うのはこういうことなんですね。

空手を習い始めて強くなった中国くんを、アメリカくんだけで抑えきれなくなった

はい、大人のワタクシが理解できてきたところで、これをどのように小5と小4の息子たちに伝えるか。どう話したら理解しやすいか。

検討の結果、学校でのできごとに例えるのが一番分かり易かろうということで、このように話しました。

UKP「昨日の安保法案の話な、父ちゃんちょっと勉強してみたわ」

息子1「え、そうなの父ちゃん。勉強したの?」

UKP「今までは個別的自衛権といって『お前自身が殴られたらやり返してもいいよ』っていうルールだったんやわ。で、いまモメてるのが『仲のいい友達が殴られたときも、お前が一緒にやり返してもいいよ』っていうルールに変えようって話。これが集団的自衛権」

妻「分かりやすい(笑)。でもなんでいま変えるの?」

UKP「例えばクラスにアメリカくんってのが居るとするわな。で、今まではめっちゃ強いアメリカくんが睨みを利かせてたから、アメリカくんと仲のいいお前らは殴られることはなかったんやな」

息子1「アメリカくん(笑)」

UKP「ところが最近、中国くんが空手を習い始めてめっちゃ強くなってきた

息子2「空手!? 中国くんすげー!」

UKP「自信をつけた中国くんはクラスでワガママな態度をとりだした。で、このままだとケンカが起きると思ったアメリカくんが『俺がやられたとき、お前も一緒にやり返してくれよ』って言ってきてるんやな。そうすれば中国くんもそうそうケンカを吹っかけてこれないやろ?」

息子1「うん、なんとなく分かる」

UKP「だから法案が成立したからって、必ずしも戦争が起きるわけじゃないんだよ。父ちゃんにはむしろ、戦争にならないためのルール変更に思えるけどな」

息子1「そっかー、安心した」

息子2「なんか途中からよく分からんくなった!(笑)」

小4の息子2にはイマイチ伝わりきらなかったようですが(笑)、息子1の不安は解消されたようです。

まぁかなり単純化してますし、いろいろな意見があって当然の問題なので、今後も折に触れて話していければと思いますけどね。

息子には多面的なモノの見方のできる大人になって欲しいもんです。

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