うまいすしを、腹一杯。 – スシローの「価値」を簡潔かつ明確に言語化した、握り寿司のようなコピー

   2015/10/09

スシロー ロゴ先日の夕食は息子のサッカー大会優勝のお祝いで、スシローでした(息子のリクエストにより…なんと慎ましやかな!)。

久しぶりのスシローは以前にも増して激混みで、メニューや店内のPOPも増えていたりと、なんだか勢いを感じました。

で、前々からスシローって広告上手いよなぁ~と注目していたのですが、今回は中でも抜群!と思っているスシローの企業スローガンについて。

スシローのターゲット層が求めるものは何か?

うまいすしを、腹一杯。

これがスシローの企業スローガンです。

スシロー先代社長・豊崎賢一氏によるスシローの哲学をまとめた書籍「まっすぐ バカ正直に やり続ける。」によると、このコピーを手がけたのは博報堂のクリエイティブディレクター・市耒健太郎(いちきけんたろう)氏

テレビCMのコンペに参加した市耒氏は、スシロー側に中長期的なブランディング戦略を提案したそうです。

その結果、スシローのブランド(世の中に約束すること)の原点を表す言葉として、このコピーが生まれました。

同書によると、このコピーの背景にはこんなストーリーがあるそうです。

もともと、にぎり寿司は庶民のものでした。江戸時代には、東京湾でとれた魚介類と海苔をネタにする寿司の屋台がたくさん並び、庶民がまるでファーストフードのように食べていたのです。ところが、その後、衛生上の理由から屋台で寿司を販売することが禁止され、江戸前寿司の本場である築地の隣が銀座だったことから、徐々に高級な料理屋という認識が広がっていきました。その結果、庶民がうまい寿司を腹いっぱい食べることができなくなってしまったのです。

市耒さんは、その寿司をもう一度、庶民のもとに取り戻したのが回転寿司だと言います。単なる「安かろう悪かろう」の商売ではなく、寿司を庶民に取り戻す「革命」なのだ、と。そして、高い品質を追求するスシローは、その先頭を走る集団だと位置づけたのです。

引用:まっすぐ バカ正直に やり続ける。

このストーリーは、スシローという企業自身も気付いていなかった「価値」を明確にしたものと言えます。

「価値」を明確にする、ということは、ターゲットとニーズを明確にするということでもあります。

このストーリーから想定されるスシローのターゲットとニーズは

・ターゲット:庶民(=年収400万~800万程度の中流家庭)

・ニーズ:低価格かつ高品質(=安いのに美味い)

といった感じでまとめられるでしょうか。

安くても、より美味しいもの、よりいいものを求める欲張りな消費者。考えてみれば、このターゲットが一番パイが大きいんですよね。

年収1千万円以上の割合はわずか3.9%程度ですから、残る96.1%のほとんどはターゲット(笑)。

年収が1千万円を超えるようなお金持ちはカウンターのお寿司屋さんで高くて美味い寿司を食べるでしょうし、安けりゃ味なんてどうでもいいぜ!というような考えの消費者は、あまり相手にしたくないですしね。

しかし欲張りなだけに、このニーズに応えるのはなかなか大変です。

裏返せば、スシローの「品質への自信」を高らかに宣言しているコピーとも言えるかもしれません。

11文字で表現し切った、究極のコピーワーク

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そして素晴らしいのは、このストーリーをたった11文字で完璧に表現したコピーワーク。

ムダな要素は一つもない、まさに“きわめて簡単な手法で米と魚や貝類の絶妙なコンビネーションをつくり出した江戸の「握り寿司」”のようなコピーと言えます(狙いすぎ?)。

言いたいことは単純に「安いのに美味い」なんですが、これ、表現するのはめちゃくちゃ難しいですよ。

特に「安い」は表現を間違えると「安っぽさ」につながってしまいます。

安っぽくなってしまっては、品質にこだわるスシローの企業姿勢をまったく表現できません。

この難問を市耒氏は、安い → たくさん食べられる → 腹一杯と、完璧に言い換えて見せました。

この仕事はコピー史に残るレベルと言えるでしょう。

かくして生まれたこのコピーを、スシローは2009年11月から各媒体で投下。その後の躍進はみなさまご存知の通りです。

1本のコピーが生んだ効果の大きさという面でも、コピー史に残る仕事だったのではないかと思います。

そしてこのエントリを書きながら、庶民のUKPは、スシロー行きてえなぁなどと思うのでした。

腹へった!

追記

今日の晩ご飯はカレーライスでしたよ。

ウマカッタ!

追記その2

息子をモデルに、スシローポスター作っちゃいました!

あまりにもいい感じの写真が手元にあったので、スシローのポスターを作ってみた。

完全に自己満足で申し訳ない!

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