私、誰の人生もうらやましくないわ。 – 1999年と2015年の「うらやましくないわ。」が救うもの

   2015/09/30

おひとりさまOL

私、誰の人生もうらやましくないわ。が支え続けた普遍的な女性のキモチ

タイトルはearth music&ecologyのコピーでも有名な、児島令子氏の1999年のコピーです。

松下電器産業のSINGLE STAGEという、いまで言う「おひとりさま」女性向け家電シリーズの販促に使われました。

この商品とコピーが世に出た1999年当時は、30代以降で結婚する女性が激増し、改正育児休業法が定着するなど女性の社会進出が進み、それを社会も人々も「よし」とした時代でした。

当然このコピーにはそうした、社会で戦う女性のシングルライフをポジティブに肯定する狙いがあります。

しかし、同じコピーを今の時代に持ってくるとどうでしょうか。

2015年1月に書かれた、ある女性のブログを引用します。

大学在学中は親元を離れていたのでFacebookやTwitterで地元の友達の楽しそうな投稿を見て落ち込む日々。

就職活動中は、前向きに就活に励む友達の投稿を見ては落ち込む毎日。

就職したらしたで地元で暮らす友達を見て地元いいなぁと思ったり、都会でバリバリ働く様子を見てすごいなぁって思ったり。

THEないものねだりな日々を送っていました。

じゃあみなけりゃいいじゃないという話なのですが、それがなかなかできないんですよね。そんな数年間を過ごしていました。

しかし、このコピーにひょんなことから出会って、うらやましい投稿を見ると心の中で「私、誰の人生もうらやましくないわ」とつぶやくようになりました。

最初のころは「とはいってもうらやましいぜ・・・(泣)」なんて思っていたのですが、不思議なものでだんだんと本当にそんな投稿をみても何とも思わなくなったのでした。

SNSは楽しい瞬間を切り取り、集めたものである。ということをしっかりと認識できるようになったのです。

この境地に至る手助けをこのコピーはしてくれました。

引用:はまな さんのnote

現在の受け手のニュアンスが、非常にリアルに伝わってきますね。

特に前半部分。

SNSというメディアの洪水に飲み込まれ、自分を見失ってしまいがちな2015年のワタクシたち。

誰の人生もうらやましくない!というコトバは、“すっぱいブドウ”のキツネが言い放つ、負け惜しみや強がりに聞こえてしまいます。

この15年で、女性は自信を失ってしまったのか?

UKPも今年40歳になりますが、周囲には同年代のおひとりさま女性がたくさんいます。

彼女たちは1999年当時のシングルウーマンのように、迷いなく前向きにシングルを楽しんでいるようには、UKPには思えません。

やはりSNSなどのツールが、彼女たちの自信を奪ってしまったのでしょうか?

それともこの不景気な世の中で、女性の考え方が保守的になってしまったのでしょうか?

ここで、SINGLE STAGEの駅貼りポスター全文を引用してみましょう。

私、誰の人生もうらやましくないわ。

本当に愛しているなら、部屋が散らかっていても中に入れるべきか?
「みんなで食べるとおいしいねっ」にはハハハ。みんなで食べても
まずいものはまずい。夜中に電話して悪うございました。悪うございました。
ひとりではない、クマちゃんがいますから。クマちゃん、それは大人の女のあかし。
会話が飛び交わないカウンターキッチンもよい。実のあるミレニアム恋愛を!
やはり女性はハンターでは幸せになれない。ウサギちゃん計画続行中。
人生の個人的な部分はさらけ出さない。同情を求めると同情は集まらないのです。
りりしく、かっこよく、ユーモアを大切に。愛と知性のシングルウーマン’ズ人生。

どうでしょう?

1999年のシングルウーマンズも、ただ単純に前向きに、シングルを謳歌しているわけではないような気がしませんか?

つまり、いつの世であってもシングル女性たちは、悩み傷つき強がりながら生きている、ということではないでしょうか。

私、誰の人生もうらやましくないわ。というコピーは、2015年のはまなさんを支えたように、1999年の女性たちもやさしく支えたはずです。

普遍的な“女性のキモチ”を突いたからこそ、このコピーは時代を越えた力を持つことができたのでしょう。

さすが女性コピーライターの面目躍如ですね。

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