イヒ! から 昨日まで世界になかったものを。 – 硬軟どちらの戦略でもインパクトを残す、旭化成の確かな「コピー選定力」

 

旭化成の新旧CM

振れ幅の大きさに旭化成の懐の深さを感じる

上記の画像は、どちらも旭化成のCMをキャプチャしたものです。

左が1997年から2006年まで展開してきた「イヒ君」のシリーズ、右が2007年から展開している「昨日まで世界になかったものを。」をテーマにしたCMです。

どうでしょう、この落差。

とても同じ企業のイメージCMとは思えません。

しかしこれ、どちらも “その時々の” 必要に応じたイメージ戦略から生まれた、どちらも大正解の “回答” なんですね。

旭化成、「イヒ君」依存から脱却しブランド戦略を世界展開

97年4月から現在まで放映し続けてきた「イヒ!」CMのおかげで、日本での旭化成の認知度は世代を問わず飛躍的に向上。「親しみやすい」「頭が柔らかい」という企業ブランドが定着していった。

(中略)

繊維事業一本槍ではなく、住宅、建材、エレクトロニクス、医薬など事業の多角化にまい進してきたがゆえに付いた「いろいろやっているが、よく分からない会社」というイメージから脱却して、認知度とイメージが向上しさえすればいいと考えていた。

(中略)

旭化成は97年6月、社内で「イヒ!」の話題が盛り上がってきたのを見て、「イヒ!」のコンセプトを説明した冊子と、「イヒ!」という文字の3Dシールを全社員に配布した。「イヒ!」に込めた「自由闊達に議論して良いアイデアをひらめき、ダイナミックに活動する会社」というビジョンが浸透し始め、「イヒ!」CMに拒絶反応を起こしていた幹部やベテラン社員の気持ちをも動かした。ここが、明確なインターナル・ブランディング活動の始まりだった。

引用:日経ビジネスONLINE

まずは認知を高め、「いい企業」というイメージを根付かせること。そしてそのイメージをインナー向けに浸透させ、社内の統制・一体化を促進する。

そういった目的において「イヒ君」を使った広告キャンペーンは非常に上手くいったのです。

同記事によれば「企業イメージ調査」において旭化成のイメージは、当時企業イメージ戦略に定評のあったソニーに迫るほどの高スコアをマークしていたとか。

これはB2C企業ではなく「素材」を主な商材としている企業としては異例のことでした。

一方、この「イヒ!」戦略ではカバーできないのが「海外」への訴求。

言われてみればそうですよね、なんせ旭化成の「化」の字を分解するとカタカナのイヒになる、という「おかしみ」がこの広告戦略の要諦ですから。

これは日本でしか通用しないでしょう。

そんなわけで、グローバルを志向して新たに打ち出されたイメージ戦略が、「昨日まで世界になかったものを。」のキャンペーンでした。

このキャンペーンも各所で広告賞を受賞し、新たな企業イメージ構築に大きな効果を発揮しています。

旭化成社内の「イメージ戦略担当者」がすごい?

それにしても思うのは、旭化成という企業が「イメージ戦略」ということを考え始めてから打った施策が、2本中2本ともヒットしているという事実。

いや、単なるヒットではなく大ホームランですね。

これは相当にトンデモナイことだとUKPは思います。

どんな人が担当しているのだろう? と少し調べてみたら、広報室長の山崎真人さんという方がさまざまなインタビューで、その考えを述べていらっしゃいました。

@ADV B to Bコミュニケーションの今

【インタビュー】編集と広告の連携生かせ――旭化成・山崎真人 氏

なるほど、社内にこうしたビジョンを持った広報部が機能しているからこそ、こうした「高確率」なヒットCMを生み出せるわけですね。

勉強になるなぁ。

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