4番1000日構想 – 名プロデューサー・長嶋茂雄による “巨人の四番” ブランド構築

   2015/07/14

松井秀喜

松井秀喜の巨人ユニフォーム姿でよみがえる「4番1000日構想」の記憶

先日の「とんねるずのスポーツ王は俺だ!! 2015夏の決戦スペシャル」(テレビ朝日系)で、久しぶりに巨人のユニフォームを着たゴジラこと松井秀喜氏を目にしました。

リアル野球BANということで、往年の豪快なスイングも見られて大興奮。CM前には松井氏がホームランを打ったかのような映像を挟むもんだから、思わず全部見ちゃいました。

それにしても、いや~やっぱり似合いますね、このユニフォーム。

普通のことを少し言い換えるだけで鮮烈なイメージを与える長嶋マジック

さてその番組内でのアナウンサーの実況の中、タイトルの「4番1000日構想」に触れられました。

ゴールデンルーキー・松井にはドラフトで4球団が競合。

当時巨人の監督に就任が決まっていた長嶋茂雄氏の手によって当たりくじが引かれ、巨人への入団が決まり、同時に長嶋氏との師弟関係が始まりました。

長嶋氏は「4番1000日構想」とか「4番1000日計画」という言葉を頻繁に発して、このコピーはスポーツ新聞の紙上を賑わせたもんです。

これ、簡単に言っちゃうと「ルーキーの松井を3年間ぐらい鍛えて巨人の4番に育てる」ということなんですが、この「3年」を「1000日」と言い換えるあたりが長嶋マジック。

プロ野球が好きな方はピンとくるかと思いますが、高卒ルーキーが一人前のレギュラー選手に育つまで3年間鍛える、というのは割と常道というか、まぁ普通のことなんですよね。

それが「4番1000日構想」と言われてしまうと、途端にものすごく雄大な、とんでもなく大がかりな難プロジェクトのように聞こえませんか?

これを見聞きした人々は、松井=とんでもない難事業に挑戦している若い才能というイメージを抱くことでしょう。

さらには「巨人という球団の4番というポジションは、甲子園を沸かせた怪物・松井秀喜をもってしても1000日も鍛え上げなければ通用しないほどの大変な地位なのか」と印象付けることにも成功しています。

長嶋氏は、このワンフレーズを発信することによって、松井の「挑戦者(=応援したい)」としてのイメージ付けと、自身も務めた「巨人の四番」というブランド価値の向上を、一気に実現したのです。

言葉の裏に確かにあった、長嶋氏と松井氏の不断の努力

松井を熱血指導する長嶋監督(当時)

確かにこの1000日間の巨人には、原辰徳に落合博満、広沢克己、Jハウエルといった錚々たる顔ぶれが揃っており、いかに甲子園のヒーローでも、おいそれと四番に座れる環境ではなかったのも事実。

そんな状況で、松井氏は開幕2軍でプロ野球生活のスタートを切るわけですが、マスコミや世間の声が喧しい巨人というチームにおいて、その決断の際にも「4番1000日構想」のフレーズは効力を発揮したのだと思われます。

あぁ、1000日構想だもんな、まずは2軍でも仕方ないな、と。

ですが松井氏はこの2軍スタートからわずか1ヵ月で1軍に昇格すると、5月には7番打者として1軍でのキャリアをスタートしています。

しかしそれから、本当に「巨人の四番」に定着するまで、実に8年の歳月を要したことは、「1000日構想」の強烈なイメージからすると少し意外かもしれません。

 〈「4番1000日計画」。それこそが師弟の、「素振りの日々」だった。東京ドームで、長嶋監督の自宅の地下室で、遠征先の監督の宿舎で、マンツーマンの素振りは続けられた〉

監督が持つバットのヘッドをボールに見立て本当に打つ感じで振るんです。監督はその瞬間にバットを引く。誰でもバットを振れば音はするんですが、短くて高 い音がいいんです。音が割れてもいけない。高くてピュッという音でなければいけない。鋭く空気を一瞬で切る感じでピュッと振りぬけると、監督から「よし」 と声がかかる。長嶋さんにしか分からないですよ。僕は監督が「いい」「悪い」と言ってくれるから分かるようになりましたけど、それでも分かるまでに1年、 2年とかかりました。

(中略)

〈「ピュッ」というときの松井の声が高い。おそらく、長嶋監督の声も高かったのだろう。右利きの松井が「不器用」という左打ちのスイングは、長嶋監督との 素振りで一つずつ積み上げたものだ。だからこそ揺るぎないスイングを固めることができたのだろう。素振りは松井が4番に定着しても、監督が勇退しても、巨 人最終の02年に50本塁打を放っても続けられた〉

引用:ZAKZAK

上記のように、1000日構想の裏側では、構想だけに終わらない長嶋氏の熱血指導が、本当に休みなく続けられていたのです。

長嶋氏の言葉が人々を魅了する力を持ち、マジックを可能にするのは、こういった不断の努力があるからなのかもしれないですね。

さて、次回はそんな長嶋氏の「闇」を告発する一冊の本をご紹介します。

意外な一面が垣間見えるかも?

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